アパートを探し始める前の基本情報1 賃貸契約の種類

(2018/2/14 加筆修正)

ドイツでのアパートの探し方や賃貸情報については、すでに色々なところで紹介されているので、ある程度のことはご存知の方も多いでしょう。

それでも、このサイト独特の切り口でドイツのアパート事情を紹介していきますよ~!

というのも、繰り返しになりますが、『ドイツ生活情報百科』では、このサイトを訪れた方たちが自力でドイツで生活していくことを目指しています。

ですので、このサイトでは、日本人ネットワークに頼らずに、ドイツ人とほぼ同じ方法で物件を探すための情報を説明していきます(実際の探し方は、次回以降の記事で説明します)。もちろん、日本人コミュニティはいざという時に頼りになりますし、否定をしているわけではありません。

でも、頼らなくても生きていける力をつけると、何かと可能性が広がりますよ!

では、何回かに分けて書いていきます。今日のテーマは『賃貸契約の種類』についてです!

普通の賃貸では、アパートを所有している大家(Vermieter)が居て、その大家と契約を交わしてアパートを借りますね。ドイツでは他の形の賃貸があるので、知っておく必要があります。

では順番に紹介していきますね!

Untermietung

„Untermietung“は、いわゆる『また貸し』です。

アパートを大家から借りている住人(Hauptmieter)が、他の人(Untermieter)に貸すというのがそうです。Hauptmieterが、仕事や学業などの何らかの事情で一定期間アパートに住むことができず、その期間限定で貸し出すことが多いですね。

家具付き(möbliert)の部屋を見つけやすいのも特徴です。

日本語で『また貸し』という響きはあまり良くないのですが、ドイツの„Untermietung“は法的にも認められています。ただし、「また貸しをして良い」という大家の承認が必要なのです。

転入届(Anmeldung)を出す際には、大家の書面が必要です。もし、「大家からの書面は出せない」と言われたら、違法のまた貸し住居だと考えてください。長期滞在には転入届は絶対に必要ですから、そういう住居に住まないようにすることは大事です。

そもそも、大家が承認していないUntermietungは即時解約の理由にもなるのですよ!リスクがかなり大きいのです。大家の承認は、Hauptmieterの契約書内か別個の書面に書かれている必要があります。確認してくださいね。

WG (Wohngemeinschaft)

WGはよく知られていますね。いわゆるルームシェアで、大抵はバスルーム・キッチン・リビングルームを共有し、それぞれの住人が個室を持つ形でアパートに一緒に住みます。

WGに住むのは学生などの若い世代が多いですが、年齢層が高い人もけっこういます。中には60代でWGに住んでいる人もいるくらいです。

いずれにしても、ドイツにまだ慣れていない人には、WGはお勧めです!というのも、大抵は既に住んでいる人達とだけ交渉すれば良いので、相性さえ合えば受け入れてくれるケースが多いからです。

WGの契約の種類

比較的気楽に借りられるWGの部屋ですが、契約の種類を知ることは大事です。WGの契約には以下のような種類があります。

住人のうち1名がHauptmieterとなり、残りがUntermieter

新しく住人になるにはHauptmieterと契約を交わします。Hauptmieterが家賃の支払いなどの義務に関して責任を持つので、もしUntermieterの誰かが家賃を支払わなかった場合、Hauptmieterが支払いをしなければいけません。

しかし、HauptmieterはUntermieterを解約する権限も持っています。家賃を支払わなかったら、あっさりと追い出される可能性があるということですね。

あとは、もしHauptmieterが引っ越すことになると、Untermieterが住み続けられないケースもあります。契約書にその内容を盛り込んであって、「Untermieterの誰かが新たにHauptmieterとなり、契約を受け継ぐことができる」という条項があれば万全です。

いずれにしても、Hauptmieterが大家への対応をしてくれるので、勝手の分からない日本人には気楽な方法です。ただし、リスクもあることも頭に入れておいてくださいね。

住人全員をHauptmieterとした契約

この場合は、契約書1つに住人全員の名前が入っています。借家人としての義務を住人全員で共有します。

住人みんなが同等の権利を持っていることがメリットです。ただ、この場合も住人の誰かがアパートを出る時に問題となることがあります。もし、契約書に「住人が変わっても契約を引き継ぐことができる」という旨の但し書き条項があれば、もちろん大丈夫です。

住人それぞれが大家と契約を交わす

このケースは一般的には多くはないと思いますが、日本人大家が運営しているWGにはそういうところもあるみたいですね。

言葉は悪いですが、大家にWGを掌握されている感じでしょうか。誰が入居するかも、大家が決めます。

WGの目的・望まれている人など

WGを探すときは、そのWGがどういう人を望んでいるのかも知っておくべきです。

募集の時にハッキリと記されていることも多いです。例えば、„Zweck-WG“というWGは多いです。住人同士の交流よりも、一緒に住むことでお金を節約することが主目的です。とは言え、一緒に住むのですから、当然ながらある程度の交流は必要です。

逆に、„Nicht-Zweck-WG“と書いてあったら、住人同士で深い交流をすることを求められています。

先方とコンタクトをとったら、年代・職業・趣味・喫煙の有無など、様々なことを尋ねられると思います。その機会に、自分からもどんな人が住んでいるのかを尋ねましょう。選べるのなら、気の合いそうなところに行くのが一番ですからね。

Wohnungsbaugenossenschaft (WBG)

Wohnungsbaugenossenschaft (WBG)は、WohnungsgenossenschaftBaugenossenschaftなどとも呼ばれます(どれも長い単語ですね・・・。以降、WBGと略します)。

日本語で何と言うのかと調べたら、『コーポラティブハウス』というのが出てきました。

入居希望者が組合を結成して、土地取得・設計者・建設業者などの手配をし、共同で建設した住宅のことを指します。ドイツのWBGの場合、建設した後もずっと、運営・補修や設備投資などを住人で構成された組合で決めていきます。

WBGの規模はさまざまですが、大きなものは1万を超える住居と会員を抱えていて、共同生活体とも言えるようなものを形成しています。住居の形も小さなアパートから一軒家までさまざまです。

もちろんWBGには、外国人である私達も入会できます。WBGのアパートは、長期滞在の日本人にはかなりお勧めできるので、もう少し詳しく説明していきますね。

分担金と使用料

WBGの会員は入会費や年会費などを支払う義務があります。

さらに入会時に分担金(Anteil)と呼ばれる持ち分を買わなければいけません(このお金は退会の際には利息付きで返却されます)。月々支払う「家賃(Miete)」にあたるお金は「使用料(Nutzungsgebühr)」と呼ばれます。

このシステムは複雑に見えますが、トータルで見れば適正な価格で住居を借りることが可能。これがWBGをおすすめする理由のひとつです。

メリットは他にもいろいろ

WBGの大きなメリットのひとつは、結婚や出産など家族構成が変わった時などや、違う規模の住居に住みたくなった時などに、組合が所有している違うタイプの住居に移ることができることです。この場合はもちろん、希望のタイプの住居に空きが出るまで待つことになるのですが、常に適正な価格で借りられるという安心感があります。

また、アパートの暖房の故障、水漏れなど、不具合がある場合に素早く対処をしてもらえるのも大きなメリット。アパートは組合の共同財産ですので、組合は良い状態を維持しようと努めてくれます。

これは大きいですよね!ドイツで住居のトラブルは多いですが、対処をするのは労力がかかります。日本人の方にWBGを強くお勧めするのは、その手のトラブルが皆無なのが理由です。

私自身はWBGの住居に住んだことはありません。でも、知人で数人、WBGのアパートに住んでいる人がいます(日本人ではほとんど聞きませんね)。みんな「WBGはすごくいいよ~」と言っています。悪い話をほとんど聞かないのが不思議なくらいです。

最初に空きアパート待ちの状態が続くのが難点ですが、それ以外では良い点が多いようなので、ぜひWBGをアパート探しの候補に入れてみてくださいね!

『アパートを探し始める前の基本情報』は次回に続きます!




Be the first to comment

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください