光熱費を抑えて2022年の冬を乗り切るアイデア

暖房

ウクライナ情勢の影響もあり、今年はガス料金、その他の燃料費が上がってきていますね。最近はどこに行ってもこの話題で持ちきりです。

とくにSNSでは流れている情報はカオスです。私は、SNSだけ見ていたら効果のある対策は練れないかなという印象を持ちました。こういう時だからこそ、情報を整理しないといけないと思うのです。以下、私ならどうするかという方法を書いていきますね。

エコ=経済的ではない

SNSではしばし「エコ」と「お金の節約」をゴチャゴチャにして議論しているのを見かけました。しかし、

使うエネルギーを減らして光熱費を節約すること ⇒ エコ

ではあるのですが、必ずしも

エコであること ⇒ 経済的

ではないので、そこは分けて考えないといけないかなと思います。

今年、このエネルギー危機で個人が大きな影響を受けて問題になるのは、自然環境の悪化ではなく経済的なダメージです。ですから、ここではお金を節約することを中心に考えていきます。

お金を節約する方法はほかにもいろいろある

暖房費が高いからと言って、寒いドイツの冬に全く暖房を使わず部屋の温度を下げたら、辛いことになりますね。寒過ぎて病気になるかもしれませんし、部屋にカビが生えやすくなります。カビは健康に悪影響を与えますし、後の処理が大変ですから避けるべきです。一般的に室温は16℃以上には保つべきと言われています。

そういう訳で、部屋の温度を下げて節約するのは限度がありますから、暖房費が上がる分をほかの方法で節約することも考える方がよいでしょう。思いつくだけでもさまざまな方法があります。

  • 光熱費以外の出費を減らす(食費、衣類、通信費、レジャーなど)
  • 家賃が安い部屋に引っ越す
  • 断熱性がよく、小さい部屋に引っ越す(ざっくりと広くて古い建物は暖房費がかさむので)
  • 補助金を得る(Heizkostenzuschussなど)
  • 電気とガスの安い契約をする(これは今からは難しいかもしれませんね)
  • 太陽光発電、太陽熱温水器、ヒートポンプの設置、暖炉の利用など、別の熱源、エネルギー源の利用
  • 効率のよい暖房器具に替える

実現可能なものと不可能なものがあるでしょうし、やりやすさや節約できる金額もそれぞれでしょうが、上のような事で何が可能かを検討するのはよいと思います。

ただし、太陽光パネルの設置など設備の変更は集合住宅の賃貸物件では実現が難しいケースがほとんどですし、お金の節約方法はほかに詳しい情報があるのでここでは深く触れません。

以下では、上に挙げていない、今住んでいる家で部屋の温度を下げ過ぎずに光熱費を節約する方法について書いていきます。少ない労力とコストで大きな効果を得られそうなものを選んでみました。

暖房効率を上げて節約

まずは、ドイツの家での温水暖房の使い方、基本的な考え方については、以下にまとめてあるのでご覧ください。

この基本的な使い方を理解した上で、さらに以下のことをやると効果があるのではないかと思います。この記事と重なっている項目もあります。

部屋の温度設定

温度1℃下げるごとに6%の暖房費を節約すると言われています。つまり、3℃で17%、5℃で27%の節約になります(温度と節約する率は比例しません)。これはけっこう大きいですよね。

このサイトに連邦経済エネルギー省が推奨する部屋ごとの温度の目安が書いてあります。バスルームは暖かく、リビング、キッチンはそれよりは低く、寝室はさらに低めが推奨です。それぞれの部屋のサーモスタットバルブを目的の温度に合わせることが大事です。

Heizkosten sparen: 10 Tipps für Mieter

あとはどの部屋も16℃以下にはしないことが大事です。上にも書いたようにカビが発生する可能性がありますし、ほかの部分でも建物を傷める可能性が出てきます。

つまり、今まで25℃にしていたのを5℃下げるなら大きく節約できますが、元から17℃程度だったら低くする余地はあまりないということになります。その場合は別の方法で節約を考える方がよいでしょう。

部屋の扉を閉める

せっかく部屋ごとに温度を設定したのに扉が開いていると、暖かく設定した部屋から寒い部屋に熱が逃げてしまいます。そうすると節約の効果が少なくなるので、扉は閉めましょう。

最近は企業でも今年の冬に向けて使う部屋数を減らし、暖房を極力使わないようにするという話を耳にするようになりました。もし広い家に住んでいて使わずに済む部屋がある場合は、同様の対策を行うと効果があるはずです。その部屋の温度設定を16℃程度にし、扉を閉めておきます。

あらゆる隙間風をなくす

暖房の効果を上げる要のテクニックは熱を逃がさないことです。

窓枠には隙間を塞ぐプラスチックやゴム製のテープが貼ってあるのですが、年数が経つと劣化します。隙間風が入る場合は、このテープを張り直すとよいでしょう。ちなみに、ゴムの方がプラスチックよりも長持ちします。

古い窓の場合はフィルムを張ることで2重窓のような効果を得る、こんな製品もあります。

もし部屋の扉から隙間風が漏れるようなら、Zugluftstopperと呼ばれる扉用のクッションを使うのも手です。

窓の下に置けるものや、可愛いデザインのものもあるので、気に入るものを探してみてくださいね。

カーテンを閉める

部屋の中で一番熱が逃げやすいのは窓です。カーテンは断熱効果もあるので閉めるとよいでしょう。ただし窓の下に暖房がある場合には、カーテンが暖房にかからないようにします。暖房にかかると窓側に熱が流れてしまうので、部屋が暖まりにくくなります。

同様に、暖房の前の遮るような位置に家具などは置かないようにしましょう。

温水暖房のパネルは掃除しておく

温水暖房の放熱板にホコリが溜まっていると、部屋に熱が伝わりにくくなります。掃除をしておきましょう。掃除は掃除機でもある程度は届くでしょうがHeizkörperbürsteという名前のブラシを使うと便利です。

もっと詳細なやり方は、下のサイトが分かりやすく説明しています。

Heizkörper reinigen

また、温水暖房内に空気が入っている場合も効率が悪くなります。暖房をつけたときにパネルからゴボゴボと音がする場合は空気が入っています。空気を抜くことが大事です。やり方はネットで調べると出てきます。自信がなければ職人さんに頼むとよいでしょう。

換気は数分間しっかり窓を開ける

ドイツの多くの窓にはKippと呼ばれる、窓の上部のみを細く開ける仕組みがついていますが、これは冬場には使うべきではありません。窓を細く開けたままにしていても壁が冷たくなるだけで、空気は入れ替わらず逆効果です。

カビを発生させないためにも、高気密の家では換気は必須です。自動換気システムがついている家の場合は必要ありませんが、そうでなければ定期的にしっかり窓を開けて換気しましょう。CO2濃度と湿度を測定していると換気をするタイミングの参考になると思います。

Gute Geräte schon für unter 100 Euro

換気のために窓を開ける時間は、1日3回、冬場なら5分、春・秋は15分ぐらい、夏は30分が目安のようです。冬場が短いのは、気温差があるために空気が速く入れ替わるからです。

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ただし、この情報はあくまでカビを防ぎ、室内の空気の質を保つための目安として書かれているものです。換気をすることで室内の空気の温度は下がり、その分暖房も使います。このエネルギー危機でどこに落としどころを見つけるかは、私もまだ考え中です。

温水の使用量を減らす

温水を節約することも大事ですね。

  • お風呂の回数を減らす
  • お湯を流しっぱなしにして使わない
  • 食器の溜めおき洗いをする

などの方法が考えられるでしょうか。

電気代を減らす

もしかしたら電気代も節約する余地があるかもしれません。

LEDライトに替える

もし、家の明かりでまだ白熱電球やハロゲンランプを使っているのであれば、LEDに替えましょう。これは効果があります。一方で、LEDにしてさえいれば、それほどこまめには点灯/消灯をしなくてもよいのではないかとは思います。

例えば、60Wの白熱電球を同じぐらいの明るさの7WのLEDに替えたとき、電気代をちょっと高めですが40ct/kWh、1日5時間点灯すると仮定すると、60Wだと1か月あたり3.60€かかっていたのが、7Wだと42ctになります。1か月あたり3.18€の節約です。家の中には電球が何個もありますから、これはけっこう効果がありますね。

そして、7WのLEDをこまめな消灯で10分消した時に節約できるのは0.04ctです。塵も積もれば…ですからこれも効果はありますが、あまり神経質になる必要はないかなとは思います。

24時間動いている電化製品をチェック

電気代を節約するには、常に動いているものの消費電力を下げると効果があります。代表的なものは冷蔵庫ですね。冷蔵庫には、必ずエネルギーラベルに1年あたりの電気使用量が書いてあります。例えば使っている冷蔵庫の電気使用量が200kWh/aで、電気代が40ct/kWhなら、1年間に消費する電気料金は80€です。

かなり古い電化製品でない限り、今使えるものを手放して得することはないかもしれませんが、買い替える際には電気使用量も含めてどの製品を購入するか検討するとよいと思います。

Das neue EU-Energielabel für Kühlgeräte kurz erläutert

日本でよく使われているような、常に保温されている電気ポットはヨーロッパでは使っている人は居ないでしょうが、これはかなり電気を食います。冷蔵庫以上に電気を使うので使用をやめましょう。

ほかにも24時間ずっと点いているものはあります。例えばテレビなどのスタンバイモードの消費電力は新しい機器なら1W以下ですが、10年以上前の古い機器を持っているなら要注意です。消費電力をチェックして、使わない時はこまめに消すようにしましょう。

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電気で部屋を暖めるのはおそらく逆効果

すでに夏には、ガスの使用量を減らしたいからと温風機(Heizlüfter)が売り切れたという話も聞きました。しかし電気代も高くなります。電気の熱効率は悪いですし、何らかのエネルギー源から発電をしているわけですから、ガス以上に高くなるのではないかと思います。

そして、電気使用量が増えることで停電になる恐れも出てきています。暖房を電気に切り替えることは考えない方がよいと思います。

VDE und DVGW empfehlen im Winter den Weiterbetrieb der Gasheizung und möglichst Vermeidung von elektrischen Direktheizgeräten

最後に

たくさん書きましたが、この全てをやる必要はありません。効果が高そうで、やりやすいことから始めるのでいいではないでしょうか。効果が見えるものなら楽しめるかもしれないですし、厳しい冬に頑張り過ぎてストレスが溜まっては元も子もないですからね。今年の冬も元気に過ごしていきましょう!




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