日本には、北海道や東北など雪の降る地方もありますが、大方の日本人にとってドイツの冬は慣れないもの。
特に冬のドイツを車で走るとなると、安全のためにも知っておくべき事がいくつかあります。
冬用タイヤ装着は義務
ドイツでは季節に関わらず、地面が凍っているとき、雪が積もっているときなどに、対応したタイヤを装着することは義務となっています。
チェーンは、山間の地域などで装着が義務付けられている道路があります。その場合には、事前に標識があります。
また、ドイツではオーストリア国境近くのごく一部の地域を除いて、スパイクタイヤは禁止されています。オーストリアなどでは、冬季にスパイクタイヤの使用が許可されていますが、ドイツに車で入国する場合には気をつけなければいけません。
冬用タイヤ(Winterreifen)
冬用タイヤはいわゆるスタッドレスタイヤ。ドイツでは前述のとおり、決められた期間というのはありませんが、10月からイースターぐらいまで冬用タイヤを使用のが一般的です。
冬用タイヤはWinterreifenの他に、M+S-Reifenとも呼ばれます。M+Sはドイツ語ではMatsch und Schneeの略です。他の国では、M+Sタイヤと冬用タイヤが区別されることもある様ですが、ドイツでは同一の意味で使われている様です。
オールシーズンタイヤ(Ganzjahresreifen)
ドイツでは上記の冬用タイヤでなくても、オールシーズンタイヤを使うことも許可されています。オールシーズンタイヤは、Ganzjahresreifenの他、Allwetterreifenとも呼ばれています。
オールシーズンタイヤは、季節ごとにタイヤの交換をしなくて良いのがメリット。タイヤは経年変化もありますし、とくに距離をそれ程走らない人にとっては、オールシーズンタイヤの方がコストが少なくて済みます。
ただし、デメリットもあります。冬の滑りやすい環境での走行性能は、冬用タイヤの方が良いので、雪の降る地域や勾配の多い地域では冬用タイヤを使った方が良いでしょう。路面が濡れているときの走行性能も、夏用タイヤや冬用タイヤに比べて悪いそうです。
また、タイヤに使用できる速度限界があるので、アウトバーンを超高速でビューっと飛ばす人向きではないのでご注意ください。
雪のあまり降らない地域や暖かい地域にお住まいなら、上記のメリット・デメリットを理解した上で、オールシーズンタイヤの使用を検討するとよいでしょう。
車で走り出す前に
走る前に、雪落としと霜取り
秋に氷点下になり始めると、早朝に車のフロントガラスや窓に霜が張るようになります。
視界を確保することは大事ですから、車で走りだす前に霜取りはしなければいけません。雪が降った場合には、雪落としもしなければいけないケースが多いでしょう。
冬場は、出発前に時間がかかるので、あらかじめ時間に余裕を持っておくことも大事です。
霜を取るには、アイススクレーパー(Eisschaber, Eiskratzer)が必需品です。ホームセンター(Baumarkt)などで売っています。
さらに、解氷スプレー(Scheibenenteiser)があると、吹きかけだけで氷が融けるので作業が楽になります。
鍵穴が凍ることも
最近はワイヤレスキーが主流ですから、問題になることは少ないかもしれませんが、従来の鍵をお使いの場合は鍵穴が凍って鍵が回らなくなる可能性もあります。
下のような鍵穴の解氷剤をを用意しておくと安心です。
さらには、ドアが開かなくなることも
氷点下では鍵は開いても、ゴムのパッキングが貼りついてドアが開かなくなることもあります。これは事前に、タルカム・パウダー(Talkum)、グリセリン、ワセリン、シリコンなどをパッキングに塗ることで予防します。トランクのパッキングにも忘れずに塗っておきましょう。
ドアのパッキング専用の製品も売られています。
そもそも、ドアが貼りつく原因は、車内の湿気が結露をして凍るため。湿気がこもったまま駐車をすることにならないように、目的地に着く直前に窓を開けて、暖房を止め、湿気を外に逃がすとよいでしょう。
砂や古毛布を用意しておく
車を駐車した後、しばらく経つと、走り出そうとしてもタイヤが滑ってしまうこともあります。そんな時、タイヤの滑り止めに、古毛布や砂があると役に立ちます。トランクに常備している人が多いですよ。
滑り止めの砂は、Streusplittといいます。砂というよりも、砂利に近いかもしれません。粒の細かさも様々なものが売られていますが、どれも同じです。
また、Streusalzという名前の物は、氷を融かす塩分が入っています。環境的にも、車のためにも、Streusplittの方がお勧めです。
冬の道路の走り方
走り方を知っておく
冬の道路を走るには、いつもに増して注意が必要です。基本的には、急なアクセルやブレーキを避けること、急ハンドルを切らないことが大事です。
雪道の走り方の情報は、いろいろなサイトに書いてあるので、あらかじめ読んでおいた方が良いでしょう。
[blogcard url=”https://www.honda.co.jp/afterservice/advice/snow/”][/blogcard]天気をチェック
車で走る予定があるときは、事前に天気をチェックしましょう。道路の凍結状況についても、インターネットやラジオで情報を集めることができます。
凍結防止剤
街の中で凍結防止剤が撒いてある場所は、濡れたような見た目になります。
ただ、一見しただけでは、凍っている所となかなか区別がつきません。この時期はいつも、「凍っているかもしれない」と思って走った方が良いでしょう。
道路のボコボコ穴
冬の時期は道路がとても傷みます。冬を越すとドイツの道路はボコボコの穴だらけです(Schlaglöcher)。
これは、雨や雪などの水分がアスファルトの溝に入り、凍結をすることで体積が膨張することによります。それに加え、重い車が上を走るのでアスファルトに耐えきれない力がかかり、壊れてしまうのです。
この時期は道路の補修もされますが、次から次へと新しい穴もできます。道路の真ん中にかなり大きな穴があいていることもありますよ!
下手をすれば、車を傷めてしまうことにもなるので、春先に補修されるまで、スピードを出し過ぎず、前をよく見て走った方が良いでしょう。
車の手入れ
上にも書きましたが、氷点下になって雪や雨が降りそうなとき、道路には凍結防止剤が撒かれます。この凍結防止剤は、塩水や塩そのものです。
走行後の車には、この塩分がたくさん付いています。また、幹線道路上に駐車しているだけでも、車は塩分を含んだ水をたっぷりと浴びてしまっています。
これを放っておくと、車のサビの原因となってしまいます。大事な車がサビサビで穴だらけになったら、目も当てられません。(ドイツで錆びている車が多いのも、これが一因です)
ですから、凍結防止剤が付いたときは、早めに洗車をして、付着した塩分を洗い流しましょう。車を、なるべく凍結防止剤が撒かれないような小さな通りに駐車しておくのも手です。
洗車は特に下回りやホイールハウス内を念入りに行ないます。自動洗車であれば、Unterbodenreinigungを選んでくださいね。
こんな簡単な事なのですが、これをするのとしないのとでは、数年後に大きな違いが出てきます。車を長持ちさせるためには、大事な作業ですよ!
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