いよいよ、新居で生活をスタート!となったら、あらかじめ知っておくべきことがあります。それは、「借主の権利と義務」について。アパートの住人にはしかるべき権利がありますが、当然ながら義務もあります。
権利についてはこれまでの記事でも書いてきたので、今回は義務にフォーカスしてみます。大家や周囲の住人とトラブルなく過ごすためにも、義務を理解してルールを守って生活することは大切なことです。
家賃の支払いはきちんと期日に
月々の家賃を遅延なく払うことは基本中の基本。ほとんどの人が守っている当たり前のことですが、とても重要です。支払いが滞るようであれば即時解約される理由にもなります。
それとは別に、電気や電話などの支払いもきちんと期日ごとに払っていくべきです。
クレジット、借金、未払いなどの個人情報は、SCHUFAと呼ばれる機関が収集して管理しています。次のアパートを探す時などに、SCHUFAの情報提出を求められることがあります。それを見て信頼性がないと判断されれば、アパートを借りることもできなくなってしまう可能性も。
住居を正しく使う
住人には、住居を正しく使う義務があります。管理を怠ったことで問題が発生した場合には、賠償責任が出てくることもあります。
不具合の報告
暖房の故障、水漏れなどの不具合は大家に修理する義務がありますが、一方で借主はこれらの不具合を大家や管理会社に報告する義務があります。
報告をしなかったり、遅れたことが原因で更に酷い不具合が発生した場合には、損害賠償をしなければならない可能性も出てきます。
暖房をきちんと使う
同様に、暖房が機能する状態になっていることは借主の権利ですが、借主は室内を一定の温度以上に保たなければいけません。室温が低すぎることによってカビが発生したり、配管の水が凍ってしまった場合には賠償する必要が出てくる可能性もあります。
また、ドイツの住居は密閉性が高いので、定期的に換気をして湿気を逃がすことも大事です。
大きな改装は大家の承諾を取る
壁の色を変えたり、固定棚を取り付けるなどは借主が自由にできますが、大きな改装は大家の承諾が必要です。
例えば、バスルームのタイルを剥がして、浴槽やトイレを付け替えるなどの改装は、たとえ自分で費用を支払うとしても大家の承諾がなければしてはいけません。
新しい同居人やUntermieter
新しい同居人やUntermieterが住む場合も、大家の承諾が必要です。Untermieterについては以下の記事で説明しています。
他の居住者に配慮する
これも当たり前ではありますが、近隣の他の居住者に配慮をして生活をすることは大事ですね。
ただ、日本での常識が必ずしもドイツでも通じるわけではありません。ドイツの中でも地域差がありますが、「郷に入っては郷に従え」で土地の人のルールに従うようにしましょう。
大音量の音楽、パーティ
様々な世代や職業の人が住む集合住宅では、騒音はしばしば問題になります。どんな時間帯でも、大きな音を出すと苦情が出る可能性があるもの。
ただ、もちろんドイツでは自宅で誕生日パーティなどをする人は多いです。ご近所さんがどんな様子でパーティをしているか、どの程度なら大丈夫そうかを見て、それに従いましょう。
日曜・祝日の過ごし方
日曜・祝日の過ごし方には地域差があります。日曜日はキリスト教では休息日なので、洗濯や掃除をするのも良い目で見られない地域もあります。
私が見聞きする限りでは、旧東側は宗教色が薄いせいか日曜日に働く事にも寛容で、外で庭仕事をしても全く問題にならないようです。
自分が住んでいる地域の人達が日曜日をどのように過ごすのか分からないうちは、日曜日に洗濯や掃除をするのは避けた方がよいかもしれません。間違っても、イースターの聖金曜日にバーベキューなどをして、ご近所さんにショックを与えないようにして過ごしましょう(笑)。
Nachtruhe, Mittagsruhe
日曜・祝日とは別に、静かにしなければいけない時間帯もあります。Nachtruheは法律で定められている静かにしなければいけない時間で、22時から翌朝の6時まで。
一方のMittagsruheは13~15時ですが、とくに法律などでは定められていない不文律です(集合住宅のルールなどで定められているケースもあります)。それでもこの時間帯に静かであることを望む人は居るので、電動工具での作業などは避けた方がよいでしょう。
楽器の演奏
普通の住居でも楽器の練習はしてもよいことになっています。逆に言えば、大家は楽器の練習を禁ずることはできません。
ただし、練習時間はMittagsruheとNachtruheの時間以外で、一般的に1~3時間の範囲。音が大きい楽器の場合は短時間になるようです(個々の判例による)。Nachtruheの時間帯でなくても、早朝や夜の20時以降の時間帯も避けた方がよいでしょう。
プロの音楽家や音大の学生さんなど、これでは練習時間が足りない方もいらっしゃいますね。その場合は、防音完備の住居や音楽家が集まっている住居などに住むか、ほかの練習施設を使うかしかないでしょう。
魚などの臭い
ほかによくあるのが、臭いの苦情かもしれません。とくに日本人の場合は、魚を焼いたにおいで苦情を受けるケースがあるかもしれません。魚を焼く頻度を減らすか、換気をうまくするなどの対処をした方がよいでしょう。
換気と臭い消しについては、以下の記事にも書いてあります。
ゴミ出しの規則
ゴミ分別のルールは守りましょう。町ごとに分別方法をまとめたサイトなどがあるはずなので、あらかじめ目を通しておくとよいでしょう。
集合住宅で中庭にゴミのコンテナがある場合、基本的にゴミはいつ捨ててもよいはずですが、ガラスのコンテナは捨てる時に音がうるさいので、MittagsruheとNachtruheの時間帯は避けるルールになっていると思います。
外国人の多い地域など、分別ルールが全然守られていないところもありますが、せめて私たちは守っていきたいところです。ご近所さんに好印象を与えると関係が良好になるメリットもありますが、後から来る日本人のためにもなるはずですよ。
窓掃除
これも住んでいる地域によりますし、何階に住んでいるかでも変わってくると思いますが、ドイツでは窓掃除をきちんとしないと苦情が入ることもあります。定期的に掃除をするようにしましょう。
窓用の掃除機もあるので、こういう物を使うのも便利かもしれません。
雪が降った時の除雪
住宅の前の歩道の除雪は、そこの住人の義務です。もし誰かがそこで滑って怪我をした場合、弁償する必要が出てきます。
都市部の集合住宅であれば、業者に頼んであるケースが殆どだと思いますが、住人が除雪をすることになっている住宅もありますので、確認をしましょう。
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