多くの日本人がドイツに住み始めて驚くのが、換気扇が必ずしも外に排気していないということ。換気扇には、外に排気するタイプ(Abluft)と、部屋内で空気を循環させるタイプ(Umluft)があります。
Umluftタイプの換気扇には、金属製の油用フィルターの他に、臭いを除去する活性炭フィルターが付いています。そして、空気を再びキッチンに戻します。
当然、Abluftタイプの方が換気する力が強いのですが、借りている部屋にUmluftタイプが付いていたら仕方ありません。
このUmluftタイプの換気扇には、使い方のコツや注意点があるので、書いていきます!
Umluftタイプの換気扇の使い方
調理する前に動かし始め、調理後もしばらく動かしておく
これはAbluftタイプの換気扇にも当てはまるのですが、蒸気が上がる2~3分前に換気扇を動かし始めて、空気の流れを作ります。空気の流れが安定していた方が、換気効果が高まります。
調理後は、よどんだ部屋の空気をきれいにするために、5~10分ほど換気扇を回したままにしておきます。
換気扇を強く回し過ぎない
空気の流れが速すぎると、空気がフィルターの活性炭の粒に接触しにくくなるので、臭いが取れなくなります。換気扇を弱く回した方が、臭いはより吸着されます。
湿気を逃すために、換気は必要
Umluftタイプの換気扇は、調理で生じた湿気を取り除きません。湿気は部屋の中に残ったままになります。ですので、カビの発生を防ぐためにも、調理後に窓を開けて換気をしましょう。
フィルターを定期的に交換・洗浄
活性炭フィルターを定期的に交換します。フィルターを洗って、再度使えるタイプのものもあります。
メーカーが推奨するフィルターの使用期間は、3ヵ月~1年と幅があります。お持ちの換気扇の説明書を読んでくださいね。もちろん、使用頻度やどんな料理を作るかによって、フィルターの汚れ具合も変わってきます。
油を取る網状のフィルターも定期的に洗浄しましょう(Abluftタイプも同じ)。油が付いてフィルターが詰まってくると、換気扇の性能が下がります。
魚を焼くときはどうする?
基本的な使い方は上記の通りで良いのですが、日本人は魚を調理します。実は、Umluftタイプに付いている活性炭フィルターは、魚を焼いた臭いには向いていないのです。
なぜなら、活性炭は短い分子構造の臭いは吸着したまま放しませんが、魚の臭いのように長い分子構造のものは再び放してしまうから。調理時に魚の臭いを1度は吸着するのですが、その後、次に換気扇を回したときに部屋に臭いを戻してしまうのです。
この問題に対応したフィルターもあります。例えば、MieleのActive AirClean Filterというフィルターは、長い分子構造の臭いを、触媒を使って短くしてしまうのだとか。ただ、これはMieleの機械にしか使えません。
他の機械の場合はどうしたら良いのでしょう?フィルターは高価ですから、魚を焼くたびに交換するわけにもいきません。
活性炭フィルターを外して換気扇を使う
魚を焼くときは活性炭フィルターを外して換気扇を使うという、笑うに笑えない方法があります。少なくとも油フィルターの方は機能するので、高価なフィルターを魚臭くさせない一番の方法かもしれません。
空気の流れを作って換気をする
調理中に窓を2カ所開けて、臭いが屋外に出るように空気の流れを作ります。
調理後も、同じように窓を2カ所開けて換気すると良いでしょう。空気の流れさえあれば、魚の臭いは時間がかかるとしても必ず取り除くことができます。
臭いを何かに吸着させる
「紅茶やコーヒーのかすを炒る」「紅茶やコーヒーのかすを水に入れて沸騰させる」「濡れたタオルを部屋の中でブンブン回す」など、ネット上にもいろいろなトリックが紹介されています。それぞれ効果があるようなので、試してみると良いでしょう。
もし、どちらかを選べるなら・・・
もしかしたら、新しいキッチンを入れる予定の方もいるかもしれませんね。その場合は、可能な限り、Abluftタイプを選んだ方が良いでしょう。ただ、もちろんメリットばかりではありません。
Abluftタイプのメリット・デメリット
メリット
- 効率が良い
- 音が小さい
- 臭いと湿気を含んだ空気が屋外に排気される
- ガスコンロでも問題なく使える(Umluftは有毒ガスが部屋に残る)
- Umluft用の付属品を購入しなくて良い
デメリット
- 壁に穴を開ける工事が必要
- 外壁が汚れる
- 冬に暖気が逃げる(換気扇が動いていない場合でも)
- 家に暖炉やストーブ(ガス・オイル・石炭)などがある場合に問題になることがある
4番目の『暖炉やストーブがある場合の問題』とは、密室で暖炉やストーブと換気扇を同時に使ったときに、有毒ガスが部屋の中に入り込む危険があることです。十分な大きさの通気口か、換気扇をつけたら自動で窓が開く機構を取り付ける必要があります。
Umluftタイプしか付けられないのなら
そうは言っても、Abluftタイプを設置できないケースも多いですね。そういう場合はどうしたら良いのでしょうか?
予算に余裕があるのであれば、上記のMieleなど、良いフィルターが付けられる高価な換気扇を導入すると良いでしょう。Mieleの他には、Berbelというメーカーの2000ユーロぐらいする特殊な構造の換気扇は、臭い除去の点では良いそうです。ただし、使用後に毎回手入れが必須で、手間がかかるのだとか。
そもそも、換気扇にここまでお金をかけられない人の方がほとんどですね。そういう場合は、それなりに性能の良い換気扇を買って、上記のような使用法を守っていくしかない様です。
関連リンク
換気扇について、もっと詳しい情報を知りたければ、ドイツ語ですが下の情報が参考になると思います。
・ Dunstabzugshauben: Die besten gegen Dampf, Geruch und Fett – Stiftung Warentest
(有料)
・ Dunstabzugshaube effizient und clever nutzen
・ Aktivkohlefilter
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