夏になると、ヨーロッパ中でキャンプ旅行をしている人達を見かけますね。
飛行機を使わなくても移動できるヨーロッパで、キャンプ旅行はとても便利。こちらで多くの人が取っている2~4週間ぐらいの休暇をホテル住まいで過ごすとなると高くつきますが、キャンプならコストも抑えられます。
安いからといって、粗悪な環境でキャンプをしなければいけないわけではありませんし、楽しみが減るわけではありません。むしろ楽しみが増える旅行になるでしょう。
最近はキャンプ場も充実してきています。とくに西ヨーロッパでは、素敵な自然の中に、清潔でサービスもよいキャンプ場がたくさんあるのですよ!
今回は、元からキャンプが好きな人やヨーロッパでのキャンプ旅行に憧れている人のために、キャンプ事情をお伝えします!
キャンプのメリット・デメリット
思いつく限り、メリット・デメリットを挙げてみます。
メリット
- 安く済む
- 子連れで過ごしやすい
- ペット連れでもOK
- 自然を楽しめる
- 予定の自由がきく
ホテルや休暇用住宅(Ferienwohnung)などに較べると、はるかに割安で旅行ができます。
子供用の遊具やプールがあったり、子供向けのエンターテイメントプログラムを用意しているキャンプ場もあります。自由に走り回っても問題なく、他の子供たちと友達になって一緒に遊ぶ子をよく見かけます。他の宿泊施設に較べると自由度は大きいです。
ペット不可なキャンプ場も僅かにありますが、普通は大丈夫です。中には、犬用の砂浜やドッグランがあるキャンプ場もあります。
街中にあって自然があまり楽しめないキャンプ場…というのも中にはありますが、大抵は自然の中にありますね。
ハイシーズンは予約を取る必要がある場合もありますが、基本は気分や天候次第で別の場所に移動するなど、行き当たりばったりな旅も可能です。
デメリット
- アウトドア生活がハード
- トイレやシャワーなどの水回りが共同
- 天候の影響を受けやすい
- テント・寝袋・調理器具など、持って行くものが多い
- 何かと時間がかかる
- 他の宿泊客との距離がまあまあ近い
これはメリットでもあるのですが、苦手な人もいますね。虫や鳥が苦手な人にも向いていないかもしれません。
全て備わっているキャンピングカーで行かない限り、キャンプ場にいる他の人たちと共同で使うことになります。
自然の中にいるということは、暑い時はより暑く、寒い時はより寒いです。雨や風の中での調理など、屋根がなければ不可能になることも。
ホテルでは備え付けられているようなものを、全て持って行くことになります。南ヨーロッパなどでは、トイレにトイレットペーパーが備え付けられていないキャンプ場もあります。
水を汲みに行ったりトイレやシャワーに行くのも、すぐ傍でないことがあるし、混んでいて待つことも。ご飯を作るのも、普段使っていないキャンプ用調理器具では時間がかかります。ゆとりのない休暇には向いていないかもしれません。
自分達で使えるスペースはホテルなどよりも圧倒的に広いですが、壁で隔てていないですから、距離が近く感じるかもしれません。
デメリットはアウトドア生活自体のデメリットばかりになってしまいましたね。とはいえ、下にも書いていきますが、快適性はけっこう高くできるので、ハードなキャンプは無理という人も諦めることはありません。
キャンプのスタイルは色々
一言「キャンプ」といっても、バックパックで移動しミニマルで切り詰めた旅行をするようなものから、バスのような大きなキャンピングカーで、家に住んでいるのと変わらないような生活をするものまであります。
旅行でやりたいことや、どういうキャンプがしたいかの希望、予算などに合わせて、ご自分に合ったものを選んでいきましょう。
移動手段
まずは移動手段を挙げてみますね。
徒歩
乗り物を持たず自分で歩く他は、主に公共交通機関やヒッチハイクで移動します。バックパックひとつだけ背負っていく感じですね。
テントで宿泊するなら、テント・寝袋・調理器具など全てを持っていくので、必然的に軽量でミニマルな荷物で移動することになります。一番、冒険的かもしれません。
自転車・バイク
自転車とバイクは別の乗り物ですし、移動速度も違いますが、キャンプのスタイルは似たものになります。自転車やバイクで走る行程自体が、旅行の主目的になることが多いでしょうか。
徒歩での移動と同様、なるべく軽量で小さく、嵩張らない荷物を持って行きます。自転車の場合はとくに1日に移動できる距離が限られているので、次の宿泊場所への到着が遅くなり過ぎないように計画的な移動が大事です。
自家用車
座席を倒してフルフラットになり、車の中で宿泊ができる車もありますが、車中泊ができない車がほとんどですね。テント泊ならば、下に挙げるキャンピングカーやキャンピングトレーラーよりも安く旅行ができます。
自転車ほど条件は厳しくありませんが、暗くなる前にテントを立てられるように、キャンプ場には早めの到着がよいです。
徒歩・自転車・バイク・自家用車の移動では、キャンプ場に設置されているバンガローや貸テントを利用する手もあります。個人的には、バンガロー泊はもはやキャンプとは呼べないと思っていますが(笑)、快適性がありながら、キャンプ場の施設も使えるというメリットは大きいかもしれません。最近とても増えてきています。
キャンピングカー(Wohnmobil)
ベットや水回りなどの設備を備えていて、寝泊りできる車のことです。車のベースはワンボックスカーからバスまで、大きさも形も色々あります。
下の写真のように完全にキャンプ向けのものもありますし、普通の車と見た目はほとんど差がない、旅行でない時も使えそうな車もあります。
中はベットだけのものから、台所(コンロ・冷蔵庫など)、バスルーム(トイレ・洗面台・シャワー)、リビングルーム、テレビなど、あらゆる設備が整っているものまで様々。
トイレ等を備えているものは、数日なら路上などキャンプ場でない場所でも宿泊できるのがメリットです。排水処理ができて宿泊も可能な、キャンピングカー専用の駐車場(Stellplätze)もあります。Stellplätzeは地面がコンクリートだったり、砂利が敷いてあるだけだったりで、面積も狭くて隣のキャンピングカーとの距離が近いので、テントには不向きです。
また、普通のキャンプ場でも、キャンピングカーはテント泊に較べて天候に左右されることがなく快適です。
デメリットは、旅行先で車でどこか買い物や観光などに行きたいときに、大きな車で移動しなくてはいけなくなることでしょうか。しかし、自転車やバイクなどを積んでいけば、キャンピングカーをキャンプ場に置いて出かけることも可能です。
車+キャンピングトレーラー(Wohnwagen)
キャンピングカーとは違い、居住部分が牽引車となっているものです。居住部分はキャンピングカー同様に、様々なタイプとサイズがあります。
キャンピングカーと同じ快適性ですが、キャンプ場からの遠足で小回りのきく車を使えるのがメリットです。
デメリットは、けん引して移動中に速度が出せないことです。国ごとに決められた制限速度があるほか、キャンピングトレーラー自体にも制限速度が設定されています。
つまり、自家用車やキャンピングカーに較べて、その分目的地にたどり着くまで時間がかかることに。ヨーロッパでのキャンプ旅行では目的地まで1000km以上走るケースが多いですから、途中で余分に宿泊をせざるを得ず、目的地での滞在が短くなることもあります。
テントも色々
テントでの宿泊は、キャンピングカーやキャンピングトレーラーよりも天候の影響を受けやすいのは確かですが、逆に自然をより身近に感じられるのが魅力。
徒歩や自転車・バイクで移動の場合は、小さくて軽量のテントを選ぶしかありませんが、車で移動の場合でも大きすぎないテントを選びましょう。大きいテントは設置も大変です。キャンプ場によっては場所が足りないこともあります。大人が2人なら、2人で問題なく立てられるテントがよいです。
テントはほぼ寝るためだけにあるような、こんなテントから、
背の高い人でもテントの中で立てて、中で調理などもできるものもあります。
構造も従来の骨組みで組むテントの他に、一瞬で組みあがるポップアップテント、骨組みがなく空気を入れて立てるものなど様々なものがあるので、目的に応じて選ぶとよいでしょう。
たぶんヨーロッパ内で一番キャンプしているのはオランダ人ではないかと思いますが、彼らはよく、中でサーカスでもできそうな大きい綿製のテントを使っています。おそらく、オランダテント(勝手にこう呼んでます)が天候の影響を受けにくく、一番快適性は高いと思います。
キャンプ場を探す・選ぶ
スウェーデンでは自然の中で自由にキャンプができますが、他の国では勝手な場所でのキャンプは認められていないことがほとんどですので、キャンプ場探しは重要です。
ドイツ語でのキャンプ場情報では、以下のサイトが充実しています。それぞれ、スマホ用のアプリやけっこう厚い紙の本もあります。スマホアプリなら、移動中に近いキャンプ場を調べることができるので便利ですよ。
実際に現地に行ってみると、これらで掲載されている以上にたくさんのキャンプ場があります。
[blogcard url=”https://www.camping-club.de/campingfuehrer/″] [blogcard url=”https://campingfuehrer.adac.de/home/index.php″] [blogcard url=”https://www.camping.info/″]それぞれ、キャンプ場が星の数で紹介されています。
とくに一番上のDCCでは、立地条件・サービス・清潔さなどの細かい評価があり、他にもアクセス、どんな設備があるか、地面の状態、日陰の有無などの説明があります。事前にどんなキャンプ場かを調べられるのはよいですよね。
キャンプ場を探す上で、個人的に私が重視しているのは、サニタリー設備と清潔さです。簡素なのは慣れれば何とかなるのですが、不潔なのは私には無理なので…。
経験上、ドイツ国内のキャンプ場では水回りは大抵が清潔ですが、南の国に行けば行くほど清潔でなくなっていきます(東欧はまだよく知りません)。
あとはトイレも南に行くほど簡素に。フランス・イタリアあたりで便座がなくなり(中途半端な姿勢で用を足すことに…)、しゃがむ式のトイレの割合が増えていきます。
キャンプ場の種類
様々なキャンプ場の情報をチェックすると、地主さんが家族経営をしているような小規模のものから、広大な敷地にスーパーマーケット、レストランやバー、プール、ミニゴルフなどが揃っていて、もはやレジャー施設ではないかというものまで見つかります。
豪華なキャンピング場が必ずしも高いとは限らないので、よく調べてみてくださいね。
上にも少し書きましたが、キャンプ場には主に以下のような区画があります。
テントもキャンピングカーも使える区画
ざっと70~100㎡ぐらいずつの区画に分かれていて、自分達だけでひと区画を使えます。車はその中に駐車します。
区画は垣根で囲われていることもありますし、仕切りがない場合もあります。キャンプ用電源が用意されていることが多いです(別料金の場合も)。
料金は人数ごとにかかりますが、複数のテントを設置したり、リビングシェルやタープを設置したりと自由に使えます。
キャンピングカー・キャンピングトレーラー専用の区画
テント向きの区画よりも狭く、地面が砂利やコンクリート、キャンプ用電源つきというが多いと思います。キャンピングカーの中の汚水を捨てることができる設備もあります。
仕切りがない草地
ドイツ語でZeltwieseと呼ばれる、仕切りがない草地です。区画のものより安価です。広い草地の好きな場所にテントを立てることができますが、仕切りがないので自分の領域というものもありません。混んでくるとストレスに感じるかもしれません。車は草地に乗り入れられないこともあります。
徒歩・自転車・バイクなどで移動している場合には、大きな場所も不要なので便利です。
予約か直接行く
実は、私はキャンプ場を予約したことはほとんどありません。大体、直接行って場所が空いているか尋ねます。運が良かったのもあるでしょうが、今まで断られたこともありません。
しかし、ハイシーズンで家族で移動となると、予約しておくのは安心ですね。大抵、電話やネットで予約できるようです。
中規模以上のキャンプ場なら、どこの国でも英語は通じると思います。ドイツ語が通じるキャンプ場もけっこうありますよ。
あとはキャンプ場ごとに、車で走って良い時間、うるさくしてはいけない時間、炭火でBBQをしてよいかなどのルールがあります。規則を守って楽しんでくださいね!
Be the first to comment